男性Sさん

本格的にダンスを始めようと教室の門を叩いてはみたものの、映画『Shall We ダンス?』の役所広司の心境そのままに、中年にとっての初めの一歩はなかなかの勇気がいるもの。
だが、「こんばんはー」の明るくよく透る声の主、香織先生の陽気な雰囲気にすっかり緊張の糸がほぐれたというのが私にとってのダンスサークルアクト第一日目だった。

半年で10種目のダンスを覚えていくのは当初ハードルが高そうに感じたが、先生の丁寧な指導に加え、休憩やレッスン終了後にステップの復習に付き合って頂いたメンバーの方々の好意に支えられ、何とか曲がりなりにも踊れるようになっていくのだから不思議なものである。

レッスンの帰路はさっきまで流れていた音楽の余韻を頼りに、ステップ確認に余念がない。誰もいない夜道や少し広いスペースがあると思わず習ったステップを確かめてみたり(笑)。
けれども、2日、3日と経つうちにみるみる忘れてしまう。1か月前に習ったダンスとなると、他の教室で復習してもごっそり忘れてしまっていることもしばしばだ。
それでも、復習を通して覚えている点と忘れていた点が繋がって線として定着していく。こうした経験がダンスを楽しいと感じる瞬間ではないだろうか。

私にとってアクトのシステムが気に入っているのは、参加出来なかった回があっても、Web動画で予習や復習が出来ることや、取り忘れた分を他の教室に参加して追いつくことができる点だ。いつもと違う会場で踊るのは新しい発見も多く、様々なレベルの人と踊る機会が増えるのも刺激があって楽しい。

また、個人的には基礎練習に結構時間を割いている事も気に入っている。ステップ偏重になりがちな初心者にとって地味な基礎練習は敬遠しがち。
だからこそ強制的にやって貰えることで、基本姿勢や体重移動などダンスの生命線になる部分をきちんと学べるからだ。

まだまだダンスを始めたばかりの1年生だが、焦らずじっくりレッスンを積み重ねていき、いずれは「アクト選手権に出ませんか?」とお誘いを受けるレベルになれたらと思う今日この頃である。