日暮里2期生の感想

ダンスサークルアクト日暮里2期生の方が半年間レッスンに参加してみた、感想・評判です。

男性Yさん

千載一遇

40歳手前。体は軋み、これまで買い足してきた衣類は色褪せて見え始め、仕事に飼いならされている現状に苛立ちを感じ、それまで積み重ねてきた価値観がぶれ始めておりました。
その頃は、明らかに直感が、自分の肉体や人生、そして価値観について再構
築することを求めているようでした。

そんな焦燥感の日々の何気ない日常に、ブエノスアイレスの老夫婦が、人生を振り返るように、しっとりと哀愁を漂わせながらタンゴを踊っている情景が飛び込んできたんです。膨大な情報の中で埋もれてゆくはずの情景が、何故か心に引っかかる。その場面がふとした瞬間、脳裏にフラッシュバックする。
そうこうするうちに、『あれっ。あんな風に年を重ねるのってカッコいいな。会話を交わさなくても、踊ることで相手の心情が理解し合えたら素晴らしいな。』なんて反芻しはじめ、いつの間にか社交ダンスにたどり着いたのが、いまの私です。

ところで、社交ダンスをしてみて、とってもいいなと思ったことは、3つあります。
一つは、身体がしなやかになり、肩こりが取れ、20歳のころのウエストが取り戻せること。
二つ目は、自分より10年又は15年以上先の人生を歩んでいる方々の中に、自分の指針を見つけるきっかけとなる紳士・淑女と出会うことができること。
三つ目は、他人の価値観に左右されずに、自分のスタイルを貫き通す姿勢が整うこと。
というのも、社交ダンスというクラシックな趣味、本物の趣味を続けることで、人にどう見られたいかではなく、自分がどうありたいかを表現できるからです。

最後に、残念ながら、社交ダンスを見る世間の目は、多くの誤解と偏見に溢れています。
よく『社交ダンスをしています。』というと、クスクスと笑われます。『社交ダンス=お笑いタレントがする滑稽な踊り。』みたいな風潮。これについては、不憫だなと思っております。
海外や日本のプロダンサーによる本物の社交ダンス。それに触れる機会がない方々。どんなに良いものも、個々人が自分で気づかなければ、たどり着けないものなのかもしれません。

また、異性の体に触れることから、不倫の温床なんてことも言われます。確かに、ダンスより異性が好きな方もいらっしゃるでしょう。ただ、どんなコミュニティーでも、そこに集う人間次第でサークルの品性は変質します。だから、どのコミュニティーにも存在する危険性として、普段から気を付けております。
もっとも、純粋に踊ることが好きな紳士・淑女には、そのようなことは起こりませんが。